いちご大福
夜の病院は静かでひんやりとしていて
廊下は外からの月明かりだけが差し込んでる
「私たちさぁ。いつの間に一緒に遊ばなくなったんだっけ…」
どうやっても思い出せない
「俺がこの病院に転院したの、覚えてない?」
「そう…だったかも」
「そのとき俺。ここの院長の養子にされたんだ」
「養子…」
そういえば蓮お兄ちゃんはずーっとお見舞いが誰もこなかった
謎が解けた気がする
「俺は親がいなかったから、ここの跡継ぎになるのを条件に養子にしてもらったんだ」
「だから上村に姓が変わってたんだ」
「あ、ここだ。19号室。」
話題を替えられたと思ったら、病室についていた。
「きれー。こんな部屋あったんだ」
病室の窓からは街の夜景が全貌できる部屋で
夜景ってほどではないけど笑
つい興奮して窓辺に乗っていた
「そうだな。ここが一番いい部屋かもな」
はしゃいでいた私の隣に蓮お兄ちゃんがやってきた
「ごめん。ちょっと我慢して…」
chu.....
一瞬何が起こったかわからなかった
唇に軽く触れた感触
それはまぎれもなく事実で
「蓮…お兄ちゃん?なにして・・・」
「祐也なんかに取られたくない」