空の果てへ


僕は、一条さんが苦手だった。


いつもにこにこ笑っていて、周りを明るくしてくれる灯りみたいで。


そんな彼が、僕は苦手だった。


どんどん僕の居場所が、無くなっていくようで。


だって、副長の小姓は僕なのに。


副長はとても一条さんを慕っていた。


沖田さんも、藤堂さんも、原田さんも、永倉さんも、近藤局長も、山崎さんも。


みんな、先に新撰組にいた僕よりも一条さんだった。


悔しくて、寂しくて、妬ましくて。


でも、こんな気持ち露に出来るわけがない。


僕は、小姓だから。


どんな命令にも、絶対に従わないと。


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