空の果てへ


裏切りとも思われず、脱走とも思われず。


早々に行け、と言ってしまうと土方さんが死のうとしていると勘違いする可能性もある。


すると、きっと市村なら死んでも傍を離れないだろう。


だから、少し遠回りになったがこれが一番だったのだろう。


俺達にとっても、市村にとっても。


ここからは、俺達の戦いなのだから。



「鉄、ちょっといいか?」


「・・・?はい」



土方さんの、何か迷っているような感情を感じ取ったのだろうか。


少し視線を揺らす市村。


俺は、部屋に呼び出されていく市村の背中をただ眺めていた。


・・・最後の、任務。


過酷な任務が、今、市村には課せられようとしている。


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