空の果てへ
「鉄・・・鉄!!」
泣きながら、市村を抱きしめていた。
大事な小姓で、大事な仲間で、最後まで付いて来てくれた、大切な・・・
大切な、隊士だったはずだ。
一昨日から止まない雨は、激しさを増している。
「鉄、生きろって言ったじゃねぇか・・・」
「・・・土方さん」
何度も、何度も。
現実を否定するかのように、首を振り続ける土方さん。
2日前まで、式で見せていたあの笑顔は、微塵も無い。
「鉄、死なないでくれよ・・・
もう、仲間が死ぬのは――――仲間を失うのは、耐えられねぇんだ!!」