空の果てへ


気が付くと、俺の頬にも涙が伝っていた。



『一条さん!!ちょっと匿って下さい!』



あの時の、市村の表情が忘れられない。


もう、あの表情も、笑顔も、必死な顔も、切なそうに微笑んだ顔も。


何も、見えない・・・見られない。


降っていた雨も止み、ヒグラシが鳴き始めた。


零れ始めた日差しから、透き通った虹が見える。


市村・・・いや、鉄之助。


お前は今、笑っていますか?幸せですか?


そして、沖田さん。


誠君、元気に暮らしていましたよ。


第二の、沖田さんみたいでした。


睦月、藤堂さん、沖田さん、近藤さん、山崎さん、原田さん・・・そして、鉄之助。


見ていてくれるか?


俺の、生きた道を。


俺の・・・生きる為に戦った、空の果てまで続く足跡を――――



『虹の向こうへ~君と見た空をもう一度~』続編

*『空の果てへ』end.*

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