恋する雑記帳。‐SS集‐
怖いものが大の苦手で、お化け屋敷なんてもってのほかなわたしだけれど、おどかすほうじゃなければ、大丈夫なように思う。
実際、不器用でも何か物を作るのは好きだし、少しだけ、お化けの仮装にも興味はある。
「そういえば、野球部の出し物も手伝うんだったよね? じゃあ、ずっとクラスの出し物に縛られるわけじゃないから、大丈夫か」
「うん。ココちゃんも手伝いに行くんでしょ? 吹奏楽。楽しみだなー、トランペット」
「もちろん!後輩がちっとも放してくれなくてさ、毎日、音楽室に行ってるよ」
「さすが部長!」
「元、だけどね」
そう言うと、ココちゃんは肩をすぼませて舌を出し、わたしもつられて笑う。
部活を引退しても、文化祭の時期はいろいろと駆り出されるのが我が青雲高校で、クラスの出し物のほかに部活ごとの出し物もあって、父兄の皆さんには毎年大盛況で、生徒は大忙しだ。
今年の野球部は、甲子園に出場したこともあって、毎年の食べ物屋から一変し、グラウンドで球速対決をするイベントに変わっていた。
大森君の最高スピード、149kmを目指してのピッチング対決案が部内で決定し、生徒会にも受理され、ココちゃんのところの吹奏楽部は、例年通り体育館でのミニコンサート。