鐘つき聖堂の魔女
「そうだよなぁ魔女は黒い瞳と髪だしな。お嬢ちゃんは金色の綺麗な髪だし、目も琥珀色、うん、美人だ。こんな美人のお嬢さんが魔女のはずない!」
「ありがとうございます」
お酒を飲んで絡んでくる人は苦手だし、飲むことも好きではないが、今日ばかりはお酒の力に感謝した。
「帰りは気をつけて帰るんだぞ。おにーさんが目を覚ましたらたんと礼をしてもらえ」
「はい。おじさんも生誕祭を楽しんでください」
「おう!じゃあきーつけてな」
リーシャは手を振りながら大通りへと戻って行く男を見送った後、男を抱えなおして再び歩き始める。
この時、リーシャは気づかなかった。
路地裏にいたのは酔っぱらった男ひとりだけではなかったことに―――