†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子


人里離れた山奥だと聞いていたが、車も通れない程

山奥だとは思わなかった。



どれくらい歩いただろうか、雪に覆われ

道とも分からない山道を歩き続けけ、陽が傾き始め

空には、うっすらと下弦の月が輝き始めた頃。



森の奥に灯りを見つけ、速足でその場へ向かった。



近づくにつれ、灯りは大きくなり

それと同時に、焦げ臭い匂いがあたりに漂い始めた。




「っ、なんなんだ・・・これは・・・」




森が抜け、目の前に広がっていたのは

火の粉が飛び散り、茅葺屋根でできた屋根からは

ところどころ炎が見え、豊かであっただろう畑や田んぼは

人の足跡で荒され、もはや見る影もなかった。



彩姫と伊蕗は、大丈夫だろうか?



慶仁は、逸る気持ちを抑えつつ村に近づき

人がいないか、一軒一軒探し回った。


< 152 / 391 >

この作品をシェア

pagetop