†*†ヴァンパイア学園†*† 巫女姫×王子
人里離れた山奥だと聞いていたが、車も通れない程
山奥だとは思わなかった。
どれくらい歩いただろうか、雪に覆われ
道とも分からない山道を歩き続けけ、陽が傾き始め
空には、うっすらと下弦の月が輝き始めた頃。
森の奥に灯りを見つけ、速足でその場へ向かった。
近づくにつれ、灯りは大きくなり
それと同時に、焦げ臭い匂いがあたりに漂い始めた。
「っ、なんなんだ・・・これは・・・」
森が抜け、目の前に広がっていたのは
火の粉が飛び散り、茅葺屋根でできた屋根からは
ところどころ炎が見え、豊かであっただろう畑や田んぼは
人の足跡で荒され、もはや見る影もなかった。
彩姫と伊蕗は、大丈夫だろうか?
慶仁は、逸る気持ちを抑えつつ村に近づき
人がいないか、一軒一軒探し回った。