†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子


彩姫さんは、ありがとうとお礼をいい俺をギュッと抱きしめた。

その拍子に彼女の大きな瞳から、一粒の涙が零れ落ちたけれど

気が付かないふりをした。




「瑞姫は、この村の離れにあるシャーマンの家。地下室に匿ってもらっているわ。あの子を、お願いね。」

「はい。」




あの時、決意したんだ。

もしかしたら、瑞姫に恨まれるかもしれない。



だけど彩姫さんの、伊蕗さんの決意を無駄にしないためにも

もし瑞姫が見つかっても、その力が発揮されないように

全ての記憶を消してしまおう、って。



なんとか、月ノ瀬さんと二人逃げ延びた後

俺は密かに、シャーマンの家に向かい、地下室の瑞姫に会いに行った。




「あ、お兄ちゃん。お母さんは、どこ?」




屈託のない笑顔を見せ、伊蕗さんと同じ琥珀色の瞳を輝かせて

俺をみる瑞姫。

そんな、彼女に近づいてギュッと抱きしめ耳元で囁いた。


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