†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子


そして、その時一番気に掛かった言葉。

それは“ あの人 ”という言葉だった。


教会がいう、あの人とは一体誰なのか。

もしかしたら、この事件には何か裏があるのかもしれない、と。


兵士が立ち去った後、急いで二人の元に駆け寄り

声を掛けた。




「伊蕗、彩姫・・・」




けれど、2人の体はすでに消えかかっていて

生気は感じられなかった。




「・・・くそっ。こんな事って・・・」

「・・・・・・けい、ちゃん」

「彩姫?」

「けいちゃん・・・これを、瑞姫に・・・」




そう言った彩姫の眼には、すでに慶仁の姿は映っていなくて

恐らく、最期の力だったのだろう。

差し出した手に握られていたのは、彼女が大切にしていたネックレスだった。


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