†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子


気を失う瞬間、俺を殴った奴の顔をはっきりと見た。

あの顔、忘れるはずがない。



紅くニヤリと笑う口元。

狐のように細く吊り上がった眼。

黒いフードをかぶっていたけれど、間違いなく

あいつは、千景だ。




「お前っ・・・」

「ふふっ・・・飛んで火に入る夏の虫、ね。」




くそっ・・・・・・

目の前に、黒幕が居るのに。

俺の・・・母さんの・・・瑞姫の敵が、俺の目の前に居るのに。



徐々に意識が遠くなっていく中

千景の厭らしい笑い声が聞こえていた。



瑞姫、絶対に来るんじゃないぞ。

俺にもしもの事があっても、この世界に足を踏み入れるな。



颯斗・・・瑞姫を、頼む。

もうアイツを・・・瑞姫を泣かせたくないんだ。

陽のある、あの世界で笑っていて欲しいんだ。

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