†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子


あれから、どのくらいの時間が過ぎたのか。

気が付いた時には、俺はこの地下牢に繋がれていた。



それに、この拘束具の所為か

それとも、千景に何かを打たれたのか

今俺のヴァンパイアの力は使えない。



腕に繋がれた鎖を引き千切ろうにも

ガシャンと金属的な音をたて

そして、自分の腕に傷を作るだけで、ビクともしない。




「くそっ・・・・・・瑞姫。」




細く地下牢に降り注ぐ、淡い月の光を頼りに

換気口のような、唯一外の様子が垣間見える細い隙間に目をやる。



自分がこんな状況下にあるのに、思い出すのは

無邪気に笑う瑞姫の顔。



瑞姫に逢いたい。

俺、かなり重症かも。

この世界に来て欲しくないと願いつつ、会いたいだなんて。



学園に来た当初は、作り笑いしか出来なかったけれど

最近の瑞姫は心から笑うことが出来るようになっている。


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