†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子



「良い子ね・・・。」

「ごほっ・・・ぇ?・・・。」




不気味な笑みを浮かべ、私の首に掛けていた手を外す。

千景の手が外れたことにより、私の体に重力が甦り

浮遊感が体中を包む。



だんだん千景の姿が、私から離れていく。

酸素が脳に満たされ、思考を巡らす。



――――――え、なに・・・・・・千景が遠くなって・・・



今、地上に向かって落ちているのだと理解するのには

たぶん、1・2秒しか掛かっていないはず。

だけどその数秒が、数時間にも感じられた。




「あなたの泣き叫ぶ顔・・・見ものだわ。あら、あの子の血が・・・勿体ない。」




紅い口から、ペロリと舌をだし長く尖った爪についた

瑞姫の血を舐めとっていく。



下を見れば、瑞姫の血の香りに集まったのか

赤い眼を光らせた、おそらくは下級の同族が姿を現し

今か今かと、瑞姫が落ちてくるのを待っていた。

< 254 / 391 >

この作品をシェア

pagetop