†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子


バレタか、と小さく悪態をつきつつも

ヒロの肩からは降りようとせず、城の中を覗き見ようと

必死に背筋を伸ばし城壁に手を掛ける紅寧。




「あ、姫ちゃんだ。」

「どこどこ?」




紅寧の言葉に、一斉に皆が視線の先に注目する。

すると、千景の後ろに静かに佇む瑞姫の姿があった。

真っ白でレースをたくさん使った、ドレスをきている。

周りは皆、闇色を使っているから彼女の着ている白色はかなり目立つ。




「なんか、変だな。」

「颯斗先輩、変って何処が?」

「彼女の目だよ。生気が感じられないというか・・・」

「千景になんかされたのかな。」

「とにかく、先走りはするなよ。もう少し調べてから・・・」

「そんな悠長なこと、言ってられないでしょ。月食は始まってるのよ?」




紅寧が言うとおり、空を見上げると

いつも空に淡い光を放つ月は欠けはじめていた。

千景が今夜に宴を決めた理由は、まさにコレがあるからだった。

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