†*†ヴァンパイア学園†*† 巫女姫×王子
口元から流れる、父親の血を手荒く拭うと
スクッと立ち上がった。
その体には、もうどこにも傷はない。
「さぁ、行け。そろそろ儀式の時間だ。」
「あぁ。」
短くそう答えると、白夜を残し螺旋階段を駆け上がる。
白夜の真意なんて、彼の血を通して見えた。
何を思い、何を考え、この数年を生きてきたのか。
そして何故、千景と共にいるのか。
けれどどうしても彼の口からききたかった言葉がある。
冬夜は、数段階段を上ったところで足を止め振り返った。
「なぁ、あんたは・・・母さんを、咲耶を愛していたのか?」
「なんだ今更。俺が愛する女は、生涯1人だけだ。」
「そっか、ならいい。」
それだけ聞くと、足早に螺旋階段を登っていった冬夜も
彼の背中を見送り「変な奴だな」と小さくいう百夜も
2人とも、フッと同じ笑顔を浮かべていた事は本人達しか知らない。