†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子


☨*☨*☨*☨*☨*☨*☨*☨*☨*☨*☨*☨
☨*☨*☨*☨*☨*☨*☨*☨



闇夜に浮かぶ月が半分に欠けた頃

ベランダでは、千景が侍女からグラスを受け取り

含みを帯びた笑みを浮かべ、くるくると回していた。




「我が同胞たちよ。時は来た。今より、儀式を行う。」




両手を掲げ、下に集まるヴァンパイアに声を掛けると

その千景の言葉に、待ってましたと言わんばかりの歓声が沸き上がった。




「さぁ、瑞姫。お前の出番だよ、コレをお飲み。」

「はい。千景様。」




棒読みの瑞姫の声。

けれど足取りは、しっかりをしていた。

瑞姫は千景からグラスを受け取り、千景に指示されるがままに

ベランダの一番前に歩み出る。



そして、そのグラスをゆっくりと口に近づけてゆく。

その様子を固唾を飲んで見つめ、辺りは静寂に包まれ

誰一人として、言葉を発しない。


< 277 / 391 >

この作品をシェア

pagetop