†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子


ふと、空を見上げた。

この世界にきた時に見た、淡く輝く光は

薄い三日月となって、その姿を消そうとしている。



月が欠けていく・・・皆既月食?・・・

嫌だ・・・暗いあの部屋を思い出す

いや・・・違う。この感覚は、アレとは違う。



体の奥が、疼く。

どくん、どくんと奥底に眠っていた何かを呼び起こすような・・・

それでいて、頭の中では

呼び起こしてはいけない、と警鐘が鳴る。




「あ・・・あぁ・・・」




意識的ではなく、声が漏れるなか

私は、目だけを動かし辺りを伺う。

すると視界の端に、塀をよじ登りコチラを見ている蒼生の姿が見えた。

反対側を見れば、何十人という男たちに取り押さえられ

必死にそれらを振り払おうとしている。





「・・・に・・・げ・・・て・・・」



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