†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子


やっとの思いで、辿り着いた場所に

瑞姫はいた。

ただ、意識はなく力の放出に任せたまま

髪は風に吹き乱れ、衣服も千切れ、苦しそうに脂汗を浮かべた状態で

立ち尽くしていた。



瑞姫の傍に居たであろう、千景の姿はどこにもない。

素早く逃げたのか、はたまた瑞姫の力によって跡形もなく消え去ったのか。





「瑞姫っ、しっかりしろ。瑞姫!!」




瑞姫の体を抱きしめ、何度も瑞姫の名を叫び続ける。

けれど、彼女の反応は無い。

千景の薬が効いたままなのか、それとも自らの力に封じ込められているのか。

どちらかはわからない。

だけど、冬夜は叫ぶのを止めなかった。

何度も何度も、彼女の名を叫び続ける。




『瑞姫のところに辿り着いたら、彼女の血を飲め。死の一歩手前まで。それ以上飲めば・・・分かっているな。お前は自らの手で、愛する者を殺してしまうのだ。私の様に、な。』



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