†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子


『瑞姫・・・瑞姫。俺と一緒にみんなのところに帰ろう。』

「・・・とう、や?」



聞き覚えのある声。

体温は少し冷たいのに、とても温かな響きをもつソレ。

一番、傍に居て欲しくて

とても愛しくて、逢いたかった人。



薄く目を開け、声のするほうに手を伸ばす。

すると、ガシッと何かに掴まれビクッと肩を揺らした。




「逃がさない・・・誰にも渡さない。」

「ヒッ・・・いやぁぁぁ!!」



この真っ白な世界には不似合いな

真っ黒な人型。

けれど、それは声だけじゃない姿形でもわかる。

そう、千景だ。



どうして、ココに・・・嫌だ。捕まりたくない・・・

瑞姫は必死に逃げた。

進んでいるのか、右も左も方向感覚さえないこの場所で

必死に、千景の真っ黒な姿が見えなくなるまで走った。


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