†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子


冬夜は、瑞姫の白い首筋から牙を抜くと

彼女の顔を覗き込んだ。




「瑞姫?」

「と、や・・・よか、た・・・ぶじ、で・・・」

「っ、瑞姫?」



瑞姫は愛おしそうに、冬夜の頬を震える右手でそっと触れると

フッと微笑んで意識を失った。

その場で崩れ落ちる瑞姫の体を、慌てて支える。




「瑞姫、瑞姫。しっかりしろ、目を覚ませっ!」

「落ち着け、冬夜・・・大丈夫だ。意識を失っただけだ。時機に目を覚ますだろう。」




白夜は、必死に瑞姫の体を揺らして起こそうとする冬夜に抱かれた

彼女の額に手を当てると、ホッとした表情を浮かべ

静かに、そして落ち着いて瑞姫を受け取った。



心配そうに瑞姫と白夜の顔を見る冬夜に、「城に行く」と

短くそう言うと彼女を、横抱きにして城へと歩き出す。



その様子を少し離れた場所で、颯斗たちは見守っていた。

もちろん彼らも、すぐに駆け寄りたかったが

思ったよりも体にダメージがあり、動けなかったというのが本当のところだ。

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