†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子


冬夜と颯斗は、瑞姫が目覚めたのかと思って

ベッド脇に身を乗り出す様に様子を伺った。


しかし、彼女が目覚めた様子は無く

ただ呻き声をあげ、時折首を掻く仕草をする。

やはり彼女は、瑞姫の身体はヴァンパイアに変わってしまったのだろう。




「瑞姫、喉が渇くのか?」




冬夜は、さほど驚いた様子もなく

ベッドに乗り上げ、瑞姫の上半身を軽く持ち上げると

カリッと自分の手首を噛み切り、その部分を瑞姫の口元にあてた。



けれど自分で飲むことが出来ないのか

唇に冬夜の血が掛かるだけで、喉を通ることなく

零れた血が首筋へ垂れていく。



それを見た冬夜は、瑞姫の首筋についた赤い筋を舌で舐めとり

血で濡れた自分の手首を吸って、瑞姫へ口移しで飲ませた。



すると、コクッと一回喉が鳴り

ほんの少し、瑞姫がホッとした表情を見せたように感じた。

そして再び静かな寝息を立て始める。

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