†*†ヴァンパイア学園†*† 巫女姫×王子
それは、出来ない。
なぜなら、アイツの血は今も変わらず俺達ヴァンパイアにとっては
惑わせるほどの甘美な香りを放つ。
そんな彼女を、特Aクラスに放り込むなんて
襲ってください、と言っているのも同然だ。
ま、瑞姫本人は何も感じていないようだけど・・・
それが、また俺の気が休まらない原因でもあるのだ。
だから、絶対にそれは出来ない。
「・・・分かった。ただし、ソイツの行動に気を付ける様に蒼生と紅寧に言っておけ」
「ふっ、ほんと冬夜は心配性だね。」
「バカ言うな。俺は、ただ零士の」
「はいはい。例の件を気にしてるんでしょ。」
颯斗は、可笑しそうにクスクス笑いながら部屋を出て行った。
膝の上に頭を乗せ深い眠りについた瑞姫の
サラサラの髪を一束掬い、彼女の髪の匂いを嗅いだ。
瑞姫は、自覚が足りない。
自分もヴァンパイアになったことで、同族が自分を襲うとは
考えていないようだ。