†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子


暗がりの、瑞姫が眠る自室へと戻ると

紅く輝く双眸が、俺を見つめてきた。




「冬夜、おかえり。」

「あぁ。どうした?」

「あの・・・血をちょうだい」




血を欲しがることは、恥ずかしいことでも何でもないのに

瑞姫はいつも遠慮しがちに、恥ずかしそうに

小さな声で、顔を赤くして言う。




「あぁ、いいよ。」




俺は、瑞姫の隣に滑り込み

血を吸いやすいように、彼女の身体を起こして抱きしめた。



新月の眠りから覚めた時は、いつもそうだ。

強い喉の渇きに襲われるようで、起きるとすぐに血を欲しがる。

そして、この眠り以外の普段の眠りはかなり浅い。

ちょっとした物音に敏感で、すぐに目が覚めるようだ。



俺といる時は、安心してぐっすりと眠って欲しいのだけれど

彼女の何かが、それを阻止しているのだろうか。


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