†*†ヴァンパイア学園†*† 巫女姫×王子
第29夜.少年ヴァンパイアの思惑
彼は、不敵に笑うと本殿の方に歩き出した。
彼の後を追うように
距離を少しおいて私も歩き出す。
本殿に着くと、スッと襖をあけ中に入るように促す彼。
どうやら、彼は中には入らないようだ。
促されるまま中に入ると、奥に女性に抱えられるように
少年が座っていた。
「っ、雪乃さん。」
暗がりではあったけれど、女性を見た瞬間分かった。
だって、それは慶仁さんの奥さんだったから。
いつも私を毛嫌いし、挨拶もろくにしなかったけれど
得体のしれない私の力を知れば、誰だってそうなるのは分かるから。
そんな彼女が、愛おしそうに少年を抱いている。
あんな幸せそうな顔、今まで見たことがない。
しかし抱かれている彼を見た瞬間、背中にゾクッとしたものが走った。
それと同時に冷や汗が出始める。