†*†ヴァンパイア学園†*† 巫女姫×王子
私には、一度も与えられなかった優しさだ。
その眼差しも、笑顔も、全て。
冬夜に出逢う前の私なら、嫉妬していたかもしれない。
でも、今は可哀想だとさえ思える。
なかなか実の子供を授かることがなく
変な力を持った、どこの誰だかもしれない子を
急に育てることになったのだから。
「久しぶりだな。まぁ、この姿で会うのは初めてになるがな。」
「え・・・」
「あまり、大きな声を出すな。あの女に聞かれるぞ。」
「あなたは一体、何者?」
私の傍に歩いてきた少年は
雪乃さんの前で話していた、子供らしい話し方ではなく
声も低く、落ち着いた話し方で私に声を掛けた。
「俺は、零士。聞いたことは、あるだろ?」
「零士って・・・枢 零士?千景の恋人?」
「そう、らしいな。」