†*†ヴァンパイア学園†*†  巫女姫×王子


部屋の奥から、雪乃さんの声がかかる。

さっきから私の事を、監視するようにずっと睨み付けていた。

だから、私が彼をそそのかして何処かに連れて行かないか

心配だったのだろう。




「お姉ちゃん、ちょっと具合が悪いらしいから離れに一緒に行ってくるね」

「そんなことしなくてもいいのよ?」

「僕が心配だから、行くの。直ぐに戻ってくるからいいでしょ?」

「本当に優しい子なんだから。」



そう、優しい声音で彼に言いつつ

私への視線は冷たいものに変わりは無かった。

彼女はその視線で、彼に何かしたら許さない

そんな風に言っているようにも思えた。




「行こう、お姉ちゃん。」

「え・・・うん。」




雪乃さんの事が気になりつつも

彼に手を引かれ立ち上がり、部屋から出ていく。

襖を開けると、そこには紫貴がいて

さも当たり前のように、零士さんを腕に抱え

離れに向かって歩き出した。


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