†*†ヴァンパイア学園†*† 巫女姫×王子
第1夜.巫女姫
「本当に、大丈夫か?いつでも帰ってきていいからな。」
「はい。ありがとうございます。」
深々とお辞儀をして、笑顔を浮かべる。
目の前で、涙を流しながら見送ってくれる男性。
私の『養父』、月ノ瀬慶仁(つきのせ けいじ)。
月ノ瀬神宮の宮司さん。
10年前のあの日、私を暗闇の世界から連れ出してくれた人であり
初めて、人としての愛情を教えてくれた唯一の人。
表情も薄く、読み書きもままならない私に、字や言葉・感情
そしてこの光で溢れる世界のことを、いろいろ教えてくれた。
また、慶仁さんがいない時でも書斎にあった本を読んだりしていた所為か
いろいろな知識を短期間で身に着けることが出来た。
当時は、見るもの読むもの全てが新鮮で、覚えていくのが楽しかった。
そのお蔭で、知識は同年代の子と変わらない。
数学は苦手だけど―――――――――