本物の愛をちょうだい。
やっぱり…着いてくる。



スピードをあげて
何度も細い路地を曲がった。





そして、晴樹の倉庫に着いた。


なんとか…巻いたか。



辺りを見渡しても
黒い車はいない。



「雪夜、此処…どこ?」

あ、そうだ。
晴樹のチームのルールで
倉庫に女を入れるの禁止だからのぞみを連れてきたことなかったな。


「晴樹のチームの倉庫。
とりあえず、中入るぞ。」

「う…うん。」



倉庫に入ると、
のぞみは俺の腕をギュッと握った。


そりゃ…そうか。



柄の悪い連中ばっかだからな。



「大丈夫!
誰ものぞみに手出さねえから。」


「うん。」


倉庫の奥には、部屋がある。


此処は、総長である晴樹と副総長と俺しか入れない。


ま、俺は勝手に入るだけなんだけどな。



「よ。晴樹。」


部屋に入ると、
タバコを吸っている総長さんがいた。


「のぞみッッ!?
おい、雪夜…此処女出入り禁止なんすけど?」


「わりいっ。
ちょっと緊急事態でな。」

「緊急事態だ?」


「ああ…ちょっとのぞみ
此処で待ってろな。」


「え?」


ああ…
その不安そうな顔…
不謹慎だけど堪らんな…


「大丈夫だから。
すぐ来るって!」


俺が笑顔を向けると
のぞみは部屋にあった漫画を手に取り読み始めた。


「で?何があった?」


「あぁ、
今日のぞみとケーキ屋行ったんだよ。
したら、黒塗りの車が後つけてきてよ。
巻いてきたんだよ…」


「お前何やらかしたんだよ!?
まさか、ヤクザに喧嘩…

「売らねえから!
そもそも僕喧嘩嫌いだし。」


「アホか…
お前のが強いだろ…」


「まあなッッ
…ッッてんなことはどーでもいいんだよ!
もしかしたら、のぞみの家の人たちじゃねえかな…
なんて。」



のぞみの家は、
【柴崎グループ】な訳で…

のぞみの父親は、
のぞみを後継者にすべく
のぞみを人形のように、
お嬢様として育てた。


つまり、優秀なのぞみを
手放すのは父親にとって
大きな損失。


最近帰らないのぞみを
多分家の者に手伝わせてるに違いない。


「お前にしちゃ頭いいな。で?どうするよ…」



 
< 179 / 283 >

この作品をシェア

pagetop