本物の愛をちょうだい。
店を後にし、そのまま
高校の屋上に向かった。



俺達が出逢った…
俺達が始まった場所…


のぞみとは、今日まで会っていない。


連絡もちょこちょこしていたが、ここ1年間連絡がとれていない。



もしかしたら、来ねえかも…


なんて今更不安になりつつも、


きっとすっげえ美人なんだろうな…


なんて期待したり…


いろんな気持ちが交差する。




「雪夜!」


ガチャリと屋上のドアが開いてのぞみだと思ったら、どっかの誰かさんだった。


「晴樹かよ…」



「なんだよ、そのあからさまな嫌な顔は…」


晴樹は高校を卒業したと
同時に族も引退。


それから、真面目にインテリアデザイナーの勉強をしている。


「お見送りか?
寂しいとか気持ちわりいこと言うなよ!?」


「アホか。
お前じゃなくてのぞみに
お別れいいに来たんだよ。」


「なんだよ…
その意味深な顔は。」


「今だから言うけどな…」


まさか…好きとか!?


「な…なんだよ…」


「俺がデザイナーになる夢を与えてくれたの、のぞみなんだよな。」


「は?」


そいやあ、いきなりだった。

晴樹が族辞めるって言ったのも…

「将来なんて全然考えてなくて…
このまま族辞めて、組の誘いに乗ろうなんて考えてたんだよ。
けど、のぞみにさ言われたんだ。」



「言われた?」



「晴樹くんは、何か考えて作るの好きそうだからデザイナーになれば?って。」


「そいやあ、族の旗も
学祭ん時の看板とか全部お前が考えてたもんな。」


ガキん頃から、絵とか得意で、何か作ったりすんのとか大得意だったな。



のぞみは見抜いてたのか。


晴樹の才能。



晴樹と語っていると…


俺の携帯が鳴った。




知らない番号から着信だ。



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