本物の愛をちょうだい。
「ユッキーのデレッぷりは初めて見るわね。
はい、お疲れ~」


「翼、ありがとう。」


バイトが終わり、
翼にソフトドリンクをもらった。


「ねえ、翼はさその…
のぞみのこと知ってる?」

「2、3回ふたりが一緒にいるときに会ったわよ。」

「そう。」


「気になるの?」


「それは…まあ。」


今更聞いてまた傷付くかもしてない。


けど…
やっぱり気になる。


「ワタシがユッキーと出逢ったのは、
ユッキーが高校2年の時ね。ユッキー高校辞めて、ワタシも働いてたバーにバイトで来ていたのよ。」


「じゃあ結構長いんだね。ふたりは…」


「そうね。
その時、ちょくちょく晴樹ちゃんとのぞみが店に来てたわ。」


「そうなんだ。
やっぱり、雪夜はその…」


「溺愛してたわね。
駆け落ちするくらいだから。」


そうか…
そりゃそうだよね。


アタシはバカだ。
のぞみはもう居ないのに…
嫉妬しちゃうなんてさ。


「安心しなさい。
ユッキーがあそこまでデレッたりしなかったから。」


「そ…そうなんだ。」


「嬉しいんだ?」


「別に!!う…嬉しくなんかないもん。」


「フフ…
わかりやすい娘だわ~」


「ナッッ!!
わかりやすくなんかないわよ!」


「いい?
ユッキーから離れちゃダメよ。何があっても」


「うん。」



絶対離れないよ。

だって何もかも初めてだもん。




< 232 / 283 >

この作品をシェア

pagetop