本物の愛をちょうだい。
仕事を終え、
家に帰っても美亜を思い出すだけだから、
1人飲みに行こうとしていた。


その時、久しぶりに
携帯が鳴った。


雪夜か?
いや、違う。

ディスプレイには珍しい
ヤツの名前から着信を知らせていた。



「隆二、久しぶりだな。」
笹山 隆二 ササヤマリュウジ

現役の族の頃、
後輩だが仲間だったヤツ。
『久しぶりっす!
晴樹さんたまにはさ、呑みにいきましょうや!!』


「ああ。丁度呑みに行くところだった。」


『そうなんすか!!
じゃ、ビルの地下の
居酒屋なんてどうっすか!?』


「ああ。わかった。
今から行くよ。」


今日は運が良かった。

隆二には決して言えないけど…


失恋して、1人酒って
どんだけ寂しい男なんだって感じだったから。


隆二と一緒なら
寂しくないよな?


うん。




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