本物の愛をちょうだい。
「オーナー!」


「………。」


あ、まただ。


オーナーの遠い目。


「タバコの灰落ちるよ。」

「あ?
ああ…さーて俺も仕事すっかな。」


「ねえ、アタシの顔見て何でそんな顔すんの?」


始めは気にならなかった。けど、気になる。


オーナーに何があるのか。


「………は?」





「オーナー、たまに悲しいような遠い目するよね。
何でかなーって…」


「…気のせいだ。
そーゆうお前も、何抱えてる?
ずっと気になってたけどよ…。」


「ん~なんもないよ。」


「そ。
無理して聞かねーけど。
いつか話してくれよ。
俺、一応オーナーだし。
従業員のことよく知りてえしさ。」


ずるい。

そんな風に言われたら
話さなきゃいけないじゃん。

「オーナーが話してくれたら話してあげるよ。」



「フッッ…
いつか話すよ。」


ガシガシと頭を撫で、
オーナー部屋に入って言った。


「逃げやがった…」



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