本物の愛をちょうだい。
んーっと、オレンジリキュールがないか。


最近、酒の種類も徐々に覚えてきた。



「美亜が真面目だと調子狂う。」


清が戻ってきた。


「アタシは始めから真面目だっつの。」


「いや、やる気完全になかったろ。」


確かに。
始めは全てが面倒だったな。



「清ってさ、いつもオープン準備してんの?」


「まあな。
俺、店長だし~」


「店長!?清が!?」


「なんだよ…俺が店長だとおかしいかよ?」


「別に。
清が一番しっかりしてるからいいんじゃん。」


「だろ?
俺、マジこの店好きだから。」


「そうなの?」


「ああ。
族を現役でやってる時、
よくここに来た。
つかー、晴樹さんの親友の店だし。
雪夜さんが、居場所にしていいって言ってくれたからな。」 



「へえ~。
てか、清って何歳?」


「20歳。
雪夜さんの7つしただな。つか、翼も龍も全員20。」


「ふーん。
ね、清はさオーナーのこと何か知ってる?」


「何かって?」


「その…
オーナーってたまに悲しそうな顔すんじゃん?
それって何でかなーって…。
アタシに似てる人っていったい誰なんだろ。」



「さあ。
俺はよくわかんねえけど…つか、雪夜さんが悲しそうな顔すんの?」


「するよ。
アタシの顔を見るとたまに…」


「雪夜さんがね~
いっつもヘラヘラしてんのに。
つかさ、雪夜さんのことよく見てんのな~」


「ナッッ!!
そんなんじゃないし…」


あーもうッッ
バカじゃん!!
こうまでして、知りたくないし。


これじゃアタシまるで…


「惚れたか?」


「は?バ…バカじゃないの!?
アタシに限ってそれはない。」


はっきり言える。


愛とかそんなの…



存在しないんだから。





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