本物の愛をちょうだい。
「美亜。」


「あ、なんか空気重くしちゃったよね。
全然平気だからさ。
どーでもいいし。」


アタシにとってこんなん対したことない。


当たり前だったし。


「バーカ。
強がんなよ。」


「わっ…ちょっと…頭ぐじゃぐじゃになんじゃん!」


オーナーの大きい手が
頭をくしゃくしゃさせる。


「美亜ちゃん、俺も一緒だから。辛いのわかるよ。」


「晴樹さんも一緒?」


「晴樹んとこも片親でさ。晴樹は、父子家庭なんだけど。」


「悲惨だったよ。
毎日女連れこんでさ。
しまいには、親父が連れ込んだ女に襲われそうになったんだから。」


晴樹さんもいろいろあったのか。


「で、コイツはヤンキーになった。」


もしかしたら、
晴樹さんも、好きとか信じてなかったのかな。


だから、今まで一度も本気にならなかったとか?


「美亜、涙流れてんの気づいてるか?」


「は?
泣いてる?アタシが?」


ほっぺたを触ったら、
冷たかった。


「感情を表に出すのが下手くそなんだな。
おもっきり泣きな。」





不思議だな。
オーナーに言われた瞬間…

ポタポタ滝のように流れた。


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