雪解けの水に潜む、紅
ゴゴゴ・・・という地響きにも似た轟音が耳に届き、恐怖に狩られながらも振り向いた。
そこには特に、変わった様子はなかった。
ただ、何もなかったはずの穴の中に羊皮紙のようなものが置かれていた。
くすんだ黄色のそれは何かの地図のようだった。
急がなければいけないのに、また謎かけ。
どうやらこの古城の主はティアラの守りを相当厳重にしているようだった。
「真にティアラを持つべき者か調べているということ?」
髑髏のマークが二つ。これは恐らく、先ほどの蜘蛛と目の前の扉にいる獣のことだろう。
恐ろしく獰猛で人を食らう化け物。
それから王の玉座。王の墓場。王の自室。
全てに王が関係している。
人魚の歌声に惑わされないように地図を見つめる。
王が持つ者は、権力。お金。それから・・・。
それを象徴とするもの。国の頂点という証。
「ティアラ。・・・王冠か。」
この国は恐らく、例の王子で運命を終えたのだろう。
王の墓場には彼の人骨。王の部屋には何があるのだろう。
彼はどうやって死んだのだろう。
この国は一体、どのような国で、どのように滅びたのか。