雪解けの水に潜む、紅
ティアラを見つける前に私はそれを知る必要がある。
「知りたいことは、調べるしかないよね。」
調べるなら、ここ。
ランプに照らされた羊皮紙の地図の一角を指差した。
図書館。
この国に生き、この国の全てが書かれた伝記のようなものがきっとあるはずだ。
牢獄を飛び出して地図の通りに進んだ。
危険のマークを見つけて、それを回避する道も描かれていた。
手探りで探すよりずっと早く、古城の奥に辿り着いた。
古ぼけた南京錠は長い年月の所為で錆付き脆くなっていた。
触れるとボロボロという音を立てながら崩れ落ちていく。
大きな扉を開けると、随分と明るかった。