雪解けの水に潜む、紅
ティアラを作ったのは、紛れもなく・・・DDやディモンドの先祖。
ドラゴンの魔法の力だ。
大きすぎる力は、戦いを齎す。
人間の欲望の為に作られ、人間の欲望の為に壊される。
私の気持ちはティアラに注がれていく。
これが放っていた光は一瞬で強い太陽のような光に変わった。
あの時と同じ、視界が真っ白になる現象が皆を包んだ。
その時、私の胸に何かが当たったような気がしたけれどボーっとした意識ではそれを理解することは出来なかった。
やがて視界が晴れて、ガラクタのようになってしまっていた街が、元に戻っていた。
十三年前に見た、家族の思い出の地が蘇った。
手の中にあったティアラは全ての力を失い、ただのガラクタと化してしまった。
全てが元通り。
紅色だった空が元の深い青に戻った。