雪解けの水に潜む、紅
勇敢なる、美しい心を持ったまだ若い、ボロボロの布切れを着た少女の命によって完全なる勝利を収めた。
俺は大観衆から少し離れた森の入り口で、どこかの勇者のように格好つけた体制のまま空を見上げた。
心の中で、生きている。か。
「ごめんな。父さん、母さん。俺、結局仇、取れなかったよ。」
「でも、今回のことで俺は人間として大事なことを沢山学べた。天国でシルビアって子に会ったら、お礼言っといてくれないか?」
街が、国が、世界が。歓喜に沸いた革命の朝。
ドンちゃん騒ぎは夜になっても終わることはなく。
平和な世界に力は要らない。
この日、俺たち人々の中から魔法という力が、消え去った。