雪解けの水に潜む、紅



ティアラの力をそのようにして使うべきではない。同じようなことをまた起こしてはいけない。
戦争なんてそんな醜い。
何故人は、戦いを望むの。


血塗れた赤い世界が終わるのはいつになるのだろうか。
人々の憎しみから生まれた反逆軍をこの国の王は嘗めてしまっている。

王さまは自分を過大評価しすぎてしまった。
正しいことが見えていない。
眠るディモンドの鼻先を撫でて、兵士と共に地上へ戻った。
いつもよりも、王宮内はガラリとしていた。

「あなたは皆のところへ行きなさい。打ち首にされてしまうわ。」

一緒に部屋に入ろうとした兵士の背中を軽く叩き追い払った。
玉座には相変わらず偉そうにした王さまがふんぞり返って座っていた。

周りでは王妃さまをはじめ侍女たちも慌てて駆け回っていた。




< 41 / 121 >

この作品をシェア

pagetop