雪解けの水に潜む、紅
望み、まだ遠き夢



「おお、シルビア。ティアラの場所は判ったか?」
「ティアラは私が探します。ミルバ軍を呼び戻し、戦ってください。」
「それはならぬ。」


お前だけでは見つかりっこない、と王さまは言い張った。
いいえ、むしろ私でしか見つからないだろう。
そんなこと王さまも判っているはずなのに。
どうして聞く耳を持たないの。


「国王さま、最後通告です!どうか、ミルバ軍を呼び戻し国民の為に戦ってください。」

最後通告、と言う言葉にキレてしまったのか判らないけれど、王さまは顔を真っ赤にして怒鳴った。

「お前、誰に口を利いているのだ!」

理解の無い王さまに私もとうとう堪忍袋の緒が切れてしまった。
後先も考えず、今、この瞬間に思ったことを口走った。

「王、あなたは愚かです!このままでは国もろとも皆死んでしまう。今すぐにでも、遅くはありません。どうか、軍隊を・・・!」

「戯け!既にマーカロニオ国の侵略に当たっているわ。今更引き返せるか。もうおぬしなど必要ない。このまま行けばティアラはワシのものだ!」



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