雪解けの水に潜む、紅
日が沈んでまた昇りそれを三回くらい繰り返した頃、白に侵された目を私に向けた。
命の灯火はもう消えかかっていた。
彼の体は限界を迎えている。
別れのときが来たようだ。
次の満月まで彼は生きることが出来ないだろう。
それほどまでに彼は、生まれたての赤子のように弱くなってしまった。
吐く息に、もう前のような強さはない。恐らく、もう火も吐けないだろう。
彼の瞳は訴えていた。話したい、と。私はそれを受け入れようとした。
そのとき、二人の絆を切り裂くような足音が聞こえた。
腰に差した剣が乱暴に鎧に当たる音も掠れて響いた。
荒々しい足音と、乱暴な扱いの音で、敵国のそれも寄せ集めで参加した、剣術もロクに使えない一般市民であることを悟った。
私の首は落とされるだろうか。