雪解けの水に潜む、紅
「変わったあなたと同じように、私も変わってしまったのよ。」
あの頃のような、まっすぐさはないの。
純粋な心も、きっと寂れてしまったわ。
「姉さんは変わってない、変わったのは俺だ。俺が、傷付けた。俺が姉さんを変えたんだね。新しい人生を勝手に始めようとした。」
何よ、今更。今更何を言っても、私が許すと思ったの?
そんなわけない。そんな、わけ・・・。
「シルビア。」
ディモンドの声が掛かった。
いつの間に目を覚ましていたのだろうか。
「ディモンド。」
彼の見る世界は、もう消え去ってしまうのだろうか。
動くことも儘ならない様子で、ディモンドは私の名前を何度か呼んだ。