雪解けの水に潜む、紅


シュパシュパという音を立てて炎の息吹を吐く彼に、名前を付けてあげようと思った。
長い尻尾が地面をペシペシ叩いているのを横目で見ながら思いついた名前を挙げていく。


気に入らないと叩く力が増し、地面に小さな割れ目を残した。

ディモンドの子どもだし、ディモンドジュニアはネーミングセンスがないよね。

最初と最後の文字を取ってD.D.はどうだろう。


「DD?」
嫌いじゃない、と尻尾を勢いよく振ってきた。


王宮に住む三頭犬のディリバードも、餌を貰える時と外に出して貰える時だけは似たような尻尾の動きを見せていた。

動物特有の、喜びの証だと思っている。



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