雪解けの水に潜む、紅
雪こそ積もっていないものの、極寒の中にこんな姿じゃ風邪を引いちゃいそうだ。
十三年ぶりの外は記憶にあった街よりも寂れて見えた。
殆どの建物が崩壊し、城も半分崩れ去ってしまっているから仕方ないのかもしれないけれど。
後から出てきたDDが同じように一瞬寒さに顔を歪めるも、ボッと吐いた炎が近くに重ねてあった薪に移り焚き火が出来上がった。
パチパチという薪が燃える音を上げながら、悴んでいた手先を暖める。
でも、これじゃいつか誰かにばれちゃう。
根が生えたように動かないDDの背を押し何とか物影に隠れる。
案の定、突然現れた焚き火にワラワラと人が集まってきた。
寒さに耐えかねた、火の魔法を使えない兵士たちだ。
彼らはコタツという物に入り浸る猫のようだ。