雪解けの水に潜む、紅
つまりいつまでも此処に居るわけにもいかないので、心配するDDをグイグイ押しながらその場を後にした。
チクチクと指を貫く痛み。流れ出る血が足跡のように地面に痕跡を残す。
目の前が霞んで、倒れそうになるのを必死で堪える。
「シルビア?」
DDが何かを話していたらしい。
だけど、貧血でぼんやりとしていた私にはDDの言葉は届いていなかった。
・・・やば、どうしよ・・・。
急に視界が暗くなって、体から力が抜けて、地面が近づいて見えた。
硬いコンクリートの衝撃に耐えようと力んでいたけれど、痛みはない。
むしろ、心地良い柔らかさに包まれて、完全に意識を飛ばした。