雪解けの水に潜む、紅
童話のようなものに出てくるという話はどこからか聞いたことはあった。
それが現実に存在するなど、大抵の人は想像すらも出来ないと思う。
全てのものを支配する力を持つティアラ。
それはこの世に存在しないという人々の想像力が生み出した、実際に存在するものである。
DDの背に乗って、空を飛べばあの山のてっぺんに行くなど容易いことだろう。
だけど、今の私にティアラを持つ資格があるとは思えない。
心と言うものを、力を、欲望を、そしてティアラの存在を見つめ直す為にも、私は努力し苦労しなければいけない。
そのためには、自分自身の手によってティアラを手に入れなければいけない。
「DD、あなたはどうするの?」
「ティアラが本当に竜王族のものなら、オレもそれを見たい。共にいく。オレはシルビアの子どもだから。」