雪解けの水に潜む、紅



マグマの中を思い出したらしい。


夢を見ているような顔をしながら頷いた。

木の幹ほどに成長したDDの足が、岩場に食い込み不安定なまま駆け上っていく。
必要とあれば飛ぶことが出来るはずなのに、それをしないのは彼の決意の現れ?


汗のようなものを流して、険しい野山を登るDDを見ながら私も蔦にしがみ付きながら滑る泥の足場を登った。


山の真ん中辺りまで来ただろうか。

まるで縦に伸びる草原のような場所に来ると、生えている草に目を背けたくなった。
ギザギザに鋭い草。人間の唇の数倍の大きさの口を持つ食肉花。
長い蔓のようなものを伸び縮みさせながら獲物を捕らえようとしている人食木。



< 75 / 121 >

この作品をシェア

pagetop