雪解けの水に潜む、紅



「ここは・・・危険だ。」
真面目に命の危機を感じ、むき出しの足を見た。
上り終わったときに指が一本も残っていなかったらどうしよう。
とりあえず、蔓は避けよう。それから食肉花は迂回しよう。
努力は惜しむな、生きられない。
DDが草を毟るように駆け上がっていく。
うん、さすが。鎧のような鱗に覆われたからだは食べようと思えないよね。


何か必ず変な臭いするし。
むき出しにされた岩肌を見ながら、安全そうな草をグッと掴み全体重を掛ける。

ああ、千切れてしまいそう。


叫ぶ草の所為で、他の草たちが私から逃れるように横に避ける。
まさか、そんなことになろうとは。
ていうか絶叫するほど重い?
なんとか複雑な気持ちで草原を抜けると、苦笑いしたDDが私を見ていた。
膨らませた頬が更に悲しい気持ちにさせる。
草原を抜けると、また垂直の断崖絶壁のような岩場が現れた。





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