雪解けの水に潜む、紅
本で読んだとおりなら、彼らの弱点は踵。
もしも起きてしまったら。と私はポシェットに入っていた石盤の欠片を引っ掴み、ビリビリに破け、丈の短いワンピースと化したドレスの胸ポケットに突っ込んだ。
中間地点まで来ると、流石に巨人の全貌が見えた。
モタモタしている時間は無い。あの大きな目が私を捕らえたら大変だ。
ティプターの鉤爪を仕舞ったDDは早々に巨人から飛び降りていた。
トサ、という音一つしないから大したものだ。
慎重に、慎重に。
むき出しになった腹の出ベソから放たれる異臭に鼻を摘みたくなる。
ヘソ掃除をしないのだろう。ヘソのゴマが溜まって臭い。汚い。
私の頭くらいあるヘソのゴマが穴から見えた。
うぇ、と吐きそうになるのを堪える。
ゆっくり、ゆっくり。
やっと降りられた。と安堵した瞬間、足で踏んだ草がカサリと音を立てた。
気付いただろうか、ああ、気付かれてしまっている。