雪解けの水に潜む、紅
首を捻る彼にもう一度言う。
「私は、あなたを知っているわ。ディアゴ。」
「おで、の名前、何で、知って、る?」
「私があなたに名前をあげたから。」
足元に生えている爆睡草を引っこ抜いた。
とても大きくて重たい。
「そで、何?」
「知らない。」
爆睡草の本体である、黄色いツルツルした球体を見つめる。
「おで、なんでお前話す?」
「ここは夢だから。」
「おで、眠る。」
「おやすみ。」
彼はまた眠ってしまった。
頭が鈍い。まだ子どもでよかった。
いきなり襲い掛かってくるような野蛮な大人ではない。
そのことに幾分安堵しながら、冷や汗をかいていたDDに近づく。
どうやら巨人はこのディアゴしかいないようだ。
平地を抜けて私たちは更なる先へ急いだ。